【岩手県W発電所 04】山と戯れること山の如し
date: 2014.06.20
category: 廃墟
第一関門の底板の無い吊り橋を渡り終え、一路旧水力発電所跡を目指すポン!徐々に急峻さを増す山道。本稿からアイフォンでの記録撮影もままならない状態だったため、情景描写をイラストにて(描:こだぬき)お送り致しますポン!
幸せは歩いてこない。廃墟もまた然りだよ。
▼前回の投稿
⇒【岩手県W発電所 03】底板の無い吊り橋▼前前回の投稿
⇒【岩手県W発電所 02】命の選択▼前前前回の投稿
⇒【岩手県W発電所 01プロローグ】旅の心得
昔、知り合いに連れられてボルダリングに行ったことがある。
一時はやったというか、今もはやっているのか知らないポンが、やったことのある人も結構いるのではないポンだろうか。
室内の壁一面に、いろんな形の石みたいのが埋め込まれていて、それらを決められた順番でクライミングしていくなかなかたのしいインドアスポーツだポン。
―しかしここは、室内ではない。
落ちたらふかふかのカーペットがやわらかく受け止めてくれるわけでもないし、鬱蒼とした、山の中、だポン。
目測60度くらいの傾斜と、地面にはいろんな草とか、背が低く幹の細い小さな木みたいのがたくさん生えているような感じ。傾斜に耐えられず、それらが一様に傾いているポン。
傾斜で滑らないように、
こんな風にしてバランスをとって踏ん張る。
それでも踏ん張れなさそうなところは、手近な小さな木を頼って
―のぼれない。
小さな木に、こだぬきのこだぬきとしてはそれなりにポンポコ肥えた体重を支えきれるわけもポンポコなく、この作戦はあっという間に水泡に帰したポン!
小さな木を頼るのはやめて、脚力だけでぐいぐい行く。
登りながら滑落し、
下りながら滑落した。
何度も・・・
繰り返す内に・・・
諦めを悟った我は、あの日のちゃらんぽらんで浮かれて平和なボルダリングを脳裏に思い浮かべながら、いやしかしここは鬱蒼とした山中だけど、もう恥も外聞もあるものかと、両手両足をしっかり地面について、つまりは四つんばい状態で、山肌に取り付いて登っていくことにした。
それでも滑落した。
近距離を歩くと滑落に巻き込まれる危険性もあるため、同行の廃墟行パイセンらとは一定の距離をとって進んでいたポンが、パイセンらにも遅れを取り過ぎないように、夢中で泥と戯れたポン。たぬきのフリをする気力も失われていった。
服、リュックサック、帽子、手ぬぐいはどろどろになった。
(誰だッ・・・いく前におしゃれストールなどを身に着けようと浮かれていたのは・・・誰だッ・・・!)
と過去の自分に全力で呪いの言葉を吐きつつ、汗、土、虫除けスプレーの混濁したニオイの中で、自分が徐々に野生に還っていくのを感じていた・・・
つづく。