廃墟と無口な造形群

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怖い怖い病 at箱根B.E.

date: 2012.09.29

category: 廃墟

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こだぬき、なんですけどねぇ…。
前々から繰り返し言ってるように、廃墟の写真のサイトなんかやってる訳ですが私、心霊系の類は基本的に信じてない訳なんですよ。
よく廃墟に縁の無い人に「廃墟なんて怖くない?幽霊出ない?」なんて言われるたび、「そういうんではないんだよ。廃墟って、むしろ人なの気配がしない、強い思いが残っていない場所だからこそさみしさや侘しさがあるんだよ」というくらいのことを言ってのける訳なんですけどねぇ。
まあそれとこれとは別の話で。自分が昔演劇をやってた、ってことや、小説なんか物語を読むのが好きだってのもあってねえ。怖い話、ってもの自体は案外とこれ好きなんですよ。
それで私の知人でまたこれがそういう怪談なんかに詳しくて、自分も霊感があっていろいろ見える、なんて人が居てねぇ。
まあー彼が小劇場とかなんかでもって音響マンをやってる人なんで私も当時いろいろとお世話になってたんですよ。
でー、演劇辞めてからも妙な縁でね。いわゆる演劇人みたいな人はそういう廃墟が好き、とかあんまりいわゆるアンダーグラウンドな人がいなかったんですがね、彼はそういう廃墟とかB級スポットとか、工場なんかも好きだってんでこのところよく一緒に廃墟に行ったりするんですよ。
そうするとねぇ、道中に彼のいろーんな怖い話なんかを聞いて。最近妙ーにそういう話がよく耳に入るようになってきた。
そうすると不思議ーなことにねぇ、なんだか今まで全然気にしなかったようなことが妙ーに怖い現象に思えてくるんだ。

でも廃墟マニアの人なんかはさっきも言ったようにあんまりそういう霊みたいなものを気にする人は居ないからねぇ。私もおんなじように気にしないようにしてたんですよ。

いやーそれで今日も箱根の廃墟にいくつか行ったんですけどね。
「こだぬきさんそっち暗いんで気を付けてね」とか言われまして。一緒に行った人が懐中電灯を持って先陣してくれて暗ーい廊下(そこは元自己啓発セミナーをやっていたところなんですけどねぇ)を歩いて行ったんですよ。

ペキペキ、パキ、ペキ。

床には割れたガラスや壁のカケラが散らばっていて歩くたびにそれを踏みしめる音がする。

パタパタパタッ!

って目の端を何かが横切ったかと思ったらこうもりだ。

いやー。
嫌だなー。なーんか嫌な感じだなー。おかしいなー。こんなはずないんだけどなー。

なんて思いながら、有名な部屋、セミナーに参加していた人達が閉じこもって壁中に言葉を書いていたっていう有名な部屋に着いたんです。
当然そこも真っ暗ですから、先陣切ってくれていた廃墟マニアの先輩が懐中電灯で中をさっと照らしたんです。もちろん私もそこまで怖いなんて気持ちはおくびにも出さずについて行ってますから。躊躇せずに光のさす方をふっと見たら…
…首が置いてあるんですねぇ。もちろんマネキンの首ですよ。誰が置いたんだか知りませんけどねぇ、最近は廃墟も有名になるといろんな人が来るみたいで、その人たちが面白がってそういうのを持ち込んで置くんでしょうねぇ。そういうことは私も知っていて、むしろそういうのには少し腹を立てるくらいだったんですよ。何も無い、手つかずが美しい廃墟に後発的な物を持ち込むなって。だからそのマネキンの首が懐中電灯の明かりに照らされてふっと浮かび上がった時も私思ったんですよ。

きゃあぁぁぁぁぁぁあーーーーーーーー

って。
…死ぬほど怖かったんですねぇ…。

いや、ほんとにどうしたか最近はすっかり怖い怖い病ですよ。
ほんと、知人の怪談マニアな音響マンさんには参る訳ですよ。でも聞きたくないけど聞いてしまう、それが怖い話ってもんなんですねぇ。それで今日も無駄にこんなに長ーい文章をつらつらつらーと何時の間にか書いていった訳ですけどね、私、最後になって気づいちゃったんですよ。あぁ、今日は一回も「ポン」って言ってねえなあって…。


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