廃墟と無口な造形群

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廃ダッジ(挫折)からたどり着いた謎の廃神社

date: 2013.07.18

category: 廃墟

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―前回に引き続き、廃ダッジへの道を雪に阻まれて引き返す中、偶然立ち寄った廃神社(?)のお話。。

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廃ダッジへの淡い失恋を胸に、我らは通常タイヤで雪道をそろそろと折り返しておりました。
そんな中運転手であり、某有名大学院生である松君(金髪坊主)がふいに車を止めたのです。ポン!

「ここ、ちょっと気になるッスね」

松君の専門は民族学だか宗教学だかそんな関連で、これまでも何度か旅路をともにする中、いろいろな寺や神社に立ち寄ることはしばしば。鯨の墓や料理の神様など風変わりなところを教えてくれる松君が独特な嗅覚を発動させたようだポン!

見ると雪山の一角にポツンと古ーい鳥居が立っている。
「あ、ぼくはここで待ってますよ。寒いですし」
と潔いまでのマイペースを貫く最年少西君を車内に残し、金髪坊主と長髪ひげ眼鏡とこだぬきの三人は雪道に降りて少し散策をすることにしたポン。

鳥居を仔細に観察しながら、世の金髪坊主の中ではたぶんトップクラスであろう学識でポツポツと何事かをつぶやく松君。

なにやらこの先に奥宮というのがあるらしい。
奥宮というのは、日本の神道における神社の中の、ある社殿に対する他の社殿の関係を現す名称のひとつだそう。山裾と山頂の二社に同一の祭神を祀る場合、山裾の神社に対して山頂の神社を奥宮といって、元々山頂に本殿を設けたけれど参拝に不便なため麓に本殿を移して、旧本殿を奥宮とした神社もあるとかなんとか。

鳥居の先は上り坂になっていて、雪で埋もれしまっているが本来は階段がしつらえられているようだ。
廃ダッジを断念して体力をもてあました我らは雪に埋もれた階段をざっくざっくと登っていった。

すると・・・

あやしい社出現・・・
イチ早く登頂した松君がガタガタと研究にいそしんでいた・・・

雪の冷たさだけではない、なんだかしーんとした冷たい空気。

「もう使われてないところポンのだろうか・・・?」
「いや、たぶんそうではないッスね(がたがた)」
「松君、そこは神様がおわしますところでは・・・・?」
「大丈夫ッスよ。僕学者ッスから」
「あ、ああ、そうか・・・」

と頷いたものの、(そうなのか・・・?)という淡い疑問を抱きつつ、(自分もたぬきだからいいか・・・)という理由&純粋な興味で中を覗き込む。が、空っぽ。

おみこしなどや・・・

年代もののお宝が並んでいる・・・

床はみしみしと音がなってうかつに踏み込むとバキッといってしまいそう。一部すでにスポンと抜けてしまっているところもある。
なんだろう、雪に閉ざされた感じがあるからか、うすら怖い感じもあるなあ。
独特な乾いた雰囲気だポン。

パシャパシャと写真を撮るこだぬきと、ガタガタと研究にいそしむ松君。もう一人の同行者の長髪ひげ眼鏡君はぼそぼそと何事かをつぶやいているので耳を澄ましてみたら、「神様、ぼくはこの人たちとは何の関係もありません・・・」と何やら薄情・・・敬虔な面持ちで、免罪符を唱えている。

神に畏れをなす敬虔なひげ面はさておき、ひとしきり古き謎に満ちた神社の空気を味わって我々は下山の途についた。

のちのちにネットで調べたら、ここは鶏冠(ケイカン)神社という珍しい名前の神社で、訪れたところは奥宮ではなく、さらにさらに登っていった山頂にそれはあったらしい。この一帯は黒川銀山とかいう、それなりに有名な全国有数の銀山だそうです。

後半に続く。。。


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