それぞれの峠道
date: 2013.08.10
category: 廃墟
(大雪に降られて遭難しかけた前回の反省を活かし、緯度経度までばっちりと確認した上での廃ダッジへの再訪記。)
ところでせっかく緯度経度を確認していたのだが、じゃあ地図で示すとどこなの?というところをなぜかきっちり抑えていなかったため(「緯度経度 地図」と検索すれば済んだ話)、iphoneのGPSと字面でのルートを元に、
「たぶんコッチだポン」
というなんだか結局不安が残る先導でざくざく峠道を歩いていた。
松君が「なんかレーダーと示している場所がちょっと違うッスね・・・」と例の何事かをサーチするマシンを見ながら言っていたがあまり気にせず歩いた。
デポ地からまっすぐな道を数分歩き、脇の小路に入るといよいよ峠のうねうね上り坂だ。
松君(金髪坊主)はチリン、チリン、と鈴の音を鳴らしながら山伏のように良いペース、慣れた足取りでどんどん登っていく。
西君(早くほうとうたべて地酒が飲みたい)は、
(たぬき先輩がまた間違えていて、こんなに歩いているのにまたたどり着けないのでは・・・?)
という拭いようのない疑惑の暗雲を頭にもくもく浮かべているのか、時折まったく“何か”がありそうな気配がない上方を見上げてため息をつく。
たぬきはもう確認した情報をなぜか1mmの曇りもなく信じていたため、ああ早くたどり着きたい。何十年もたたずんでいる渋い鉄の塊と綺麗な山桜の木を眺めたい。と胸をときめかせてポンポコ登っていったポン。
「あッ ありましたよッ ありましたよッ」
といつの間にか先を行っていた松君の声が上から降ってきて、たぬきと汗だくの西君は大急ぎで最後の坂を登りきった。
―つづく